ピザーラをはじめ、様々な業態の飲食店を経営し、

”究極の日常”を追求する株式会社フォーシーズ

株式会社フォーシーズは、「ピザーラ」をはじめとしたデリバリー業態から、三ツ星を獲得したフレンチレストラン「ガストロノミー “ジョエル・ロブション”」まで幅広いジャンルの飲食店を運営する企業です。今回のインタビューでは、外食業界における変化と課題、働き方に関わるお取り組み内容、そして食に対する想いについて、株式会社フォーシーズ 代表取締役会長兼CEO 淺野 秀則氏にお話を伺いました。

淺野 秀則(あさの ひでのり)

1953年、東京都生まれ。慶応大学商学部卒業。学生時代から旅行代理店業などさまざまな事業を手がける。1980年輸入商社としてフォーシーズを設立、代表取締役就任。 1987年、映画「E.T」で見た宅配ピザのシーンに直感し、宅配ピザチェーンの「ピザーラ」を東京・目白に第1号店として出店する。 現在、「ピザーラ」をはじめとしたデリバリー業態や、ミシュランガイド東京で13年連続で三ツ星を獲得したフレンチレストラン「ガストロノミー “ジョエル・ロブション”」、 ピザとパスタの専門店「TO THE HERBS」、グルメバーガー専門店「クア・アイナ」、大阪の食文化串かつを気軽に楽しめる「串かつ でんがな」、など、幅広いジャンルの58業態の飲食店を運営。


Q.御社の仕事について教えてください。

 当社は、宅配ピザのピザーラをはじめとして、様々な業態の飲食店を経営しています。 現時点で58業態、グループ全体で約1300店以上あり、直営店運営だけでなく、フランチャイズ本部としての事業も行っています。1本100円前後の串かつから三ツ星フレンチレストランの経営まで幅広い業態を運営しており、業態の幅広さという意味では類のない会社だと思います。また、私たちは”究極の日常”をキーワードにしています。これは、自分たちが毎日食べても飽きないものを作っていこうということで、先日オープンした青山の「蕎麦 青乃」にも妻である弊社の社長自ら毎日のように通っています。

 

Q.外食をやろうと思われたきっかけなどはありますか?

 私と社長は、最初にレンタル事業を創業しました。レンタルビデオ店というのは、内容で差別化がしづらく、最後は価格競争になってしまいます。一方で人に貸していたラーメン屋では、安定的に月30万円の収入がありました。その時、このラーメン屋で、もし総理大臣と同じぐらいの年収3,000万を稼ぐとしたら、毎年1軒ずつ増やし、10年で10軒となれば、年間3,600万円となり、不可能ではなさそうだと考えました。それからは、安定的に収入を得られる価格競争で終わらないビジネスを、二人でヒントを探して、ロサンゼルスからハワイまで回りました。しかし、結局、何も見つからず、たどり着いたハワイのマウイ島の海岸で何にもなかったねと二人で笑ったのを今でも覚えています。

 その後、日本に帰ってきて、偶然、映画「E.T.」を見たときに、冒頭にデリバリーピザのシーンがありました。その時、「あっ、なんだこれは、面白そうだ。」と思い、デリバリー事業がひらめきました。その当時、出前の文化しかない中でデリバリーピザはうまくいくかもしれないと考えました。その時は、ちょうどアメリカの宅配ピザチェーンが日本に上陸した年で、すぐにフランチャイズで申し込めないか確認しましたが、フランチャイズはやらないと断られ、自分たちで一からやることを決め、商品研究を始めました。

 アメリカのピザではなく、マヨネーズやカレー味など、日本人の味覚に合うピザで勝負しようと考えました。ツナマヨなんて当時食べる人はいなかったですが、私たちが最初にピザのメニューに追加し、今ではおにぎりの定番の具材になっています。

 

Q.創業されてからこれまで、外食業界ではどのような変化がありましたか?

 人口の減少は、飲食業においても大きな変化のポイントであると感じています。また、家庭における食事のスタイルにおいても、80年代はファミリー世代をターゲットにしていましたが、今後、共働き家庭や単身世代が右肩上がりで増えていくことから、それに伴い、外食業界も変化が求められます。

 他にも、食のグローバル化により、輸入食材などの国際的な消費量が増え、原材料の価格帯にも変化が出始めています。例えば、ニューヨークでは、昔は6ドルで食べることができたラーメンが、今は21ドル、2500円くらいとなっているから驚きです。イギリスで朝食を食べようとすると5000円かかることも珍しくありません。日本人があまりそのことに気づいていないのは、日本は島国であることにより、食事の価格が変わらないからでしょう。

 

Q.変化が起きている中で、課題と思われているのはどのようなことでしょうか?

  先ほども申し上げた通り、人口の減少により、働き手が減ってきている中で、アルバイトの確保は深刻な課題です。働き手の確保のため、様々な取り組みをしていかなければなりません。また、働き方改革により、社員やアルバイトからのたくさん働きたいという要望に応えられないというジレンマも日々感じています。その中で、以前、鈴木社長からいただいた店舗のwi-fi環境を整備するとアルバイトが集まりやすくなるのではないか、というアイディアをきっかけに、アルバイトを対象にアンケートをとったところ、考えもしなかった様々なアイディアが多く集まりました。そこから様々な施策に取り組んだところ、離職率が減り、従業員満足度が上がるという素晴らしい結果が出ました。

 また、弊社では福利厚生に力を入れており、各店舗に配布する社内報「@FS」では、社員やアルバイトが自由に使える保養所や社員割引の紹介、社員インタビューの掲載などをしています。冊子の方が温かみがあり、社内報はアナログのまま続けています。お店のバックヤードに置くと、アルバイトの方がちょっと手が空いた時に見ることができるので、フォーシーズはこんな会社なんだと理解を深めてくれます。そのおかげで、ピザーラの場合は、アルバイト出身者が社員として入社するケースが非常に多くなっています。

 

Q.現在はどのようなことに取り組まれていますか?

 効率化は一つ重要なテーマとなっています。現在デジタルシフトウェーブさんには、実際に現場担当者と一緒に業務フローの整理から始め、そこから見えてくる作業効率性を高める取り組みをしていただいています。これは、年間で見てもとても大きな効果につながっています。

 広告においても、大きな変化を感じています。これまではテレビCMに多額の投資をしてきましたが、今の若い世代のテレビの見方はこれまでとは大きく異なり、YouTubeを見ながら、一方で録画しておいたテレビをCMを飛ばしながら見ています。そのような変化に合わせ、当社でも広告をテレビからネットへ大きく移行し始めています。

 

Q. 現在のお取組の中で難しさを感じられている部分はありますか?

 働き方、人の部分は常に課題であると考えています。会社の規模が徐々に大きくなるにつれて、組織でいかに動いていくかという点は常に難しさを感じています。コミュニケーションの方法も時代に合わせて変化させていくことが必要であると感じています。

 デジタルはコミュニケーションにおいても役立つと考えており、鈴木社長からのアドバイスにもあった通り、社内に閉じたSNSも社内コミュニケーションの一つのアイディアであるかもしれません。部下の気軽な投稿に対して上司が”いいね”を押してくれるだけでも従業員同士のコミュニケーションがよくなっていくと考えています。

 最近当社では、店長がスタッフと懇親をするための経費を積極的に使えるようなルールを作りました。これは、店長が繁忙期の前にスタッフとのコミュニケーションを図るには非常に重要なことです。また、会議室を開放して、ケータリングを用意し、部署を超えて懇親できる場を作って、広げていきたいとも考えています。これによって、社員も満足しますし、アルバイトを気軽に誘うことで、日頃あまり伝えられない感謝を伝えることができたらいいと思っています。

 

Q.御社における弊社の役割と、ご一緒させていただいているご感想をお聞かせください。

 鈴木社長は、いろいろなご経験による多くの引き出しがあり、経営や営業、現場業務までデジタルを含めたアドバイスをいただき、ありがたく思っております。今回のプロジェクトにおいても、デジタルの部分において、判断に迷う部分で適切なアドバイスをいただけたことによって、いい展開ができていると考えています。

 これまで、いくつかコンサル会社にお願いしたことがありましたが、今は、要因が複雑に絡み合っており、答えが一つではない時代ですので、データだけを見て一つの答えを出すような従来のコンサル会社のやり方では、物事が解決しないと考えています。そういった点で、ただヒアリングするだけではなく、実際に現場に入りこんで、業務を整理しそこから課題を洗い出し、デジタルにつなげていく進め方は、デジタルシフトウェーブさんならではやり方であり、素晴らしいと思っています。

 

Q.今後目指されていきたいことを教えていただけますか?

 現在の58の業態をしっかりと大きな幹にして育てていきたいと考えています。インバウンドが増えている状況の中、世界中の方が日本食は非常にローカロリーでヘルシーであるということに気付いてくださることで、きっと日本食が海外に根付いていくと考えています。食については、日本人は非常にこだわっているので、そのこだわりの部分を私たちのモットーである”究極の日常”として世界に発信していければいいと思っています。

 例えば、日本で日本食を食べたお客様が、帰国した先でフランチャイズなどで開店できる仕組みや、当社のアルバイトの留学生が、帰国して独立できる制度を設けることなどは、日本食のすばらしさを海外に届ける一つの方法だと考えています。

 そして、海外展開をする際に、デジタル化というのは大きな力になると考えています。例えば、言葉の壁はデジタルによって超えられると考えていますし、商品の味や風味もデジタル化によって一定の品質を保つということができるかもしれません。また、5Gの時代になり、通信速度が今より格段に速くなりコストも安くなることで、遠く離れた海外の店舗の状況もリアルタイムで日本から確認することができるはずです。

 デジタルシフトにより、私たちには多くのチャンスがあると感じています。アナログのいいところと、デジタルのいいところの両方を活かしながら、更なる発展を目指していきたいと考えています。

 

 鈴木)御社の取り組みの中でも、従業員同士のコミュニケーションのお話がありましたが、仕事だけの関係の職場では生産性が低く、コミュニケーションがしっかりととれている職場では生産性が高まります。これからは、デジタルでそれが可視化できるようになり、浅野会長の熱い想いや、きめ細やかなところを伝えていくこと、現場で何が起こっているか伝わってくることがとても重要になると考えています。また、デジタル化といってもAIなどは、抜け漏れのチェックが得意な範囲で、未来の予測はできないので、会長や社長のお考えをデジタル化につなげられたらよいと考えています。御社はものすごく温かい会社ですので、そこは最大限活かしつつデジタル化のご支援をさせていただきたいと思っております。今後とも、お互いによいパートナーとして、引き続きよろしくお願いいたします。