2019/10/31

これまでのノウハウを集結し、顧客満足を最大化する最先端のコンタクトセンターを目指すスカパー・カスタマーリレーションズ

スカパー・カスタマーリレーションズは、有料多チャンネル放送「スカパー!」とその他各種業態15社のコンタクトセンター運営を担う企業です。初回となるインタビューでは、弊社もご一緒させて頂いた「次世代スマートコンタクトセンター」プロジェクトの取り組みについて、ビジョン、今後の展開など、スカパー・カスタマーリレーションズ 代表取締役社長 新巻 康彦氏にお話を伺いました。

新巻 康彦
1987年森ビル(株)入社。その後、経営コンサルティング会社等を経て1996年よりジェイ・スカイ・ビー(株)(現スカパーJSAT(株))事業に参画し事業立ち上げ、経営企画業務等に従事。 その後、スカパーJSAT(株)にて有料多チャンネル事業部門事業戦略部長、プロモーション部長等を務め、各種新規事業/サービス開発やリブランディングプロジェクトを推進。 2014年(株)スカパー・カスタマーリレーションズ取締役に就任しコンタクトセンターの構造改革を指揮。 2017年SCC(スマートコンタクトセンター)プロジェクトの責任者を務め、2019年同社代表取締役社長に就任後はコンタクトセンターのBPO事業を推進している。
 

Q.御社の仕事内容について教えてください。

 我々、スカパー・カスタマーリレーションズ(以下、SPCC)は、有料多チャンネル放送「スカパー!」とその他各種業態15社のコンタクトセンター運営を担っています。具体的には、お客様からのお問合せ対応(インバウンドコール業務)と、それに付随する事務処理業務のほか、加入促進のための発信対応(アウトバウンドコール業務)を行っています。お問合せ窓口のオムニチャネル化を進め、電話だけではなくメールやチャット、LINEなどのノンボイスでの対応も受け付けています。お客様の生の声を、要望やニーズとして、改善提案も含めてスカパー!に届ける大事な役割を担っています。スカパー!は番組数が非常に多く、お客様は迷われることが多いので、あらゆるお問合せにお応えし、できるだけ楽しんでいただけるようなコンシェルジュ的な役割を目指しています。また、現在準備を進めているのが、スカパー!のウェブサイト運営です。SPCCが直接スカパー!のサイトにお客様の改善要望をスピーディーに反映させることで、スカパー!のサービスコミュニケーション全体をよくすることができると考えています。

Q.今、コンタクトセンター業界では何が起こっていて、御社にとっての課題はどのようなことでしょうか。

 課題は3つあります。1つ目は労働市場の厳しさ、2つ目はお客様のコミュニケーションツールの変化、3つ目はコンタクトセンターのデジタル化です。
 1つ目の労働市場の厳しさですが、これは慢性的な人手不足という問題です。特にSPCCがコンタクトセンターを配置している札幌や沖縄などの地方は、コンタクトセンターが集中している地域であり、オペレーターさんの時給が高騰しています。また、全国的にあらゆる業界で人手不足による人の取り合いが起きており、採用が追い付いていない状況です。さらに、採用後の離職を防ぐため、育成やフォローも急務となっています。そのような状況の中で、人手不足を補う業務の自動化や省略化は大きなテーマであると感じています。
 2つ目のお客様のコミュニケーションツールの変化とは、昨今のスマホ普及により、電話応対のみならず、ノンボイス系のメールやチャット、LINEなど、顧客接点が多様化していることであり、コンタクトセンターはその変化への対応が求められています。ただし、気を付けなければならないのは、各チャネルによって応対品質にばらつきが発生してしまうことです。どのようなチャネルからのお問い合わせでも、一貫性のある応対ができるよう、情報を一元管理する仕組みが重要となります。
 3つ目のコンタクトセンターのデジタル化ですが、最近はカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上と業務効率化の両立がこれまで以上に求められており、そのためには、コンタクトセンター業界でもデジタルシフトの必要に迫られています。デジタルシフトとは、システムを導入するだけではなく、徹底した現状の業務整理から始め、導入後どのように成果を生み出し、そしてその成果をどのように測り、運用していくかを見据えた取り組みが重要だと考えます。

Q.スマートコンタクトセンターについて詳しく教えてください。

 これらコンタクトセンターが抱える3つの課題に対応すべく、2年前にスマートコンタクトセンターのプロジェクトを立ち上げました。また、今後を見据え、基幹システムの最小化を同時に進めていきました。具体的には、音声基盤(PBX)のクラウド化、LINEやチャットなどすべてのチャネルでの応対履歴を一元管理するオムニチャネル対応、さらにはAIによるオペレーターへの回答支援システムの導入を行いました。例えば、AIによるオペレーターへの回答支援システムは、やり取りをリアルタイムでテキスト化し、FAQや番組情報とマッチングさせ、オペレーターが知りたいことを瞬時に回答候補として表示できます。

Q. AIによるオペレーターへの回答支援システムの音声認識の精度はかなり高いと伺っておりますが、効果はどの程度出ていますか?また、現場の声としてはどうでしょうか?

 特に新人オペレーターからは好評です。スカパー!は番組数が膨大にあり、お客様が電話口でおっしゃる番組名や出演者、スポーツ選手名などから該当の番組をオペレーターが自力で探し当てるのは非常に難しいのが実情です。お客様の方が詳しいことも多く、オペレーターが会話を続けられないことを恐れてしまい、深く踏み込めないという課題もありました。回答支援システムは、お客様の声を自動認識し、候補となる番組情報がオペレーターのモニターに表示されることで、応対中でもお客様へスムーズにご案内できて非常に助かるという現場の声が届いています。この安心感が仕事のしやすさを生み、オペレーターのストレスを下げ、応対品質の向上や離職防止にもつながっています。

Q.スマートコンタクトセンター構築の際に、難しさを感じられた点について教えてください。

 まず、初めて自社内でプロジェクト全体を取りまとめることに難しさを感じました。これまで、これほどの大規模プロジェクトでは、とりまとめをすべてSIerに依頼していました。今回、自らとりまとめを行ったのは、今後、自社での利用にとどまらず、外部展開を見据えており、提供するシステムを自らが熟知していることが重要であると考えたからです。また、技術変化や業務変化に迅速に対応する必要があり、これまでのようにSIerを通して依頼するのでは、スピード感も柔軟性もだせないため、自分たちでやり切る決断をしました。
 特に苦労したのが、スマートコンタクトセンターの目指すべき姿を、現場のオペレーター含め、すべての関係部署に説明し、共感してもらう点でした。スマートコンタクトセンターを成功させるには、現場をプロジェクトに巻き込み、お互いの立場で何度も議論を重ねながら作り上げていくことが最も重要です。それぞれの意見をしっかりまとめ上げ仕切ることができる、リーダシップの重要さに気づかされました。このプロジェクトを通して、苦労したからこそ、社員全員が成長したことは、会社として大きな財産になったと感じています。

Q. 立ち上げからご一緒させて頂いた弊社の役割についてとご感想をお聞かせください。

 正直なところ、鈴木さんと出会わなければ、自分たちでやるという決断は難しかったと思います。鈴木さんに後押ししていただいたからこそ、自分たちでやるという大きな決断ができ、最後までやり切ることができました。SPCC社内でも情報システム部はありますが、今回のような大規模プロジェクトの経験はなく、経営陣もシステム構築に踏み込んで向き合ったことがなかったので、システムベンダーさんとの向き合い方を含め、推進のサポートをしていただきました。
 特に印象深いのは、目指す姿を明確にして、関係者全員で共有することが絶対に大事であるという点です。システムベンダーさん含め、情報をオープンにした会議体の進め方は、関係者全員の一体感を醸成させ、プロジェクトが生きている感じを体感しました。そして最後はトップのリーダシップが大事であるという核心的なアドバイスのおかげで、プロジェクトをやり切ることができました。
 また、このプロジェクトを通して、SPCC社員に対して、時には厳しく、愛情をもって接し、育てていただきました。これはSPCCの大きな財産になっています。その中で、デジタルシフトウェーブの社員の方にも、事務局としてほぼ常駐の形で入り込んでいただき、鈴木さんと連携をとりながら、プロジェクトの状況を報告していただきました。このおかげで、プロジェクト全体の状況を把握することができ、正しい判断ができたと思います。そのデジタルシフトウェーブ内での社長と社員の連携も素晴らしいと感じました。
 SPCCはこれから、新しいことにチャレンジをしてきます。その中で、デジタルシフトウェーブさんには、いま、スマートコンタクトセンターの外販ビジネスでご一緒していただいていますが、SPCCのチャレンジをサポートしていただく安心できるパートナーだと思っています。

Q. 新社長になられて、今後の展開や目指していきたい姿を教えてください。

 スマートコンタクトセンターは構築して終わりではなく、ツールとして進化させ、具体的に成果を出していきたいと考えています。いま、現場からは多くの知恵が出てきており、その知恵を吸い上げ、反映させていくというPDCAのプロセスがうまく回り始めています。また、SPCCは全国で6拠点にコンタクトセンターを配置し、自社と大手コールセンターベンダー3社で運営していますが、コールセンターベンダー間で運用ノウハウや知恵をオープンに共有しています。これは、普通ではありえないことですが、皆で共有していくことで、相乗効果が生まれます。当初、各コールセンターベンダーとも半信半疑ではありましたが、より効果を出したいという想いをもとに、お互いにギブアンドテイクすることでメリットがあることを体感しはじめていただいたことで、良い形で動き始めました。
 また、スマートコンタクトセンターを他のお客様にも提供し、SPCCをさらに発展させていきたいと考えております。鈴木さんにもご支援いただき、お客様にも恵まれ、最近手ごたえが出始めてきています。
 SPCCはクライアント様の先にいるお客様の最前線に立って、顧客満足を最大化するために、お客様の変化に合わせて、ダイレクトコミュニケーションの方法を見直すなど、更なるコンタクトセンターの進化をしていきたいと考えています。特に我々の場合はスカパー!の会員ビジネスをやってきており、お客様との関係作りの経験・ノウハウがあるので、「所有から利用へ」「モノ売り切りモデルからリテンションモデルへ」のビジネストレンドの変化の中で、SPCCの強みを発揮していけるのではと感じております。
 さらに、今後、業務効率化へのニーズはますます高まることが予想されます。SPCCがノウハウを提供し生産性向上の実績を作ることで、SPCC内部にもノウハウがたまり、結果的にはスカパー!事業にもシナジーを反映できると思っています。今はスカパー!事業の業務が大半ですが、数年の間にスカパー!事業との業務内容を半々くらいにしていきたいと考えています。

 どこの会社も課題は一緒であり、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上と業務の効率化ができるスマートコンタクトセンターのニーズは今後ますます高まっていくと感じています。しかし、システムを導入したもののあまり利用されていない、使いこなせないという悩みは、各社が抱えています。SPCC様が今回、スマートコンタクトセンタープロジェクトに挑戦した際に経験した業務改革のノウハウは、他社に導入するときにも必ず強みになるはずです。いま、SPCC様は全員が業務とシステムは常にセットであるという共通の理解を持って進んでいることは、必ず、スマートコンタクトセンターの成功につながると私は信じています。今後とも、お互いによいパートナーとして、引き続きよろしくお願いします。(鈴木)